「グランド・ツアー 美的観光のすすめ」

伊丹市立美術館で開催中の展覧会。この展覧会は所蔵品によるテーマ展という認識だった*1のだが、出品目録に目を通すと、京都国立近代美術館兵庫県立美術館、神戸市立博物館、姫路市立美術館笠岡市立竹喬美術館など、結構いろいろな館から作品を借りてきていることに驚いた。タイトルから、風景画が中心の構成なのかとも思ったのだが、展覧会の主軸を成すのは「旅」。そこが想像していた展示構成と、実際のとの一番に大きなギャップであった。
そういういい加減な前情報の影響もあってだろうか、まさか、この展覧会で「洛中洛外図」に出会う*2なんて!これこそがこの日一番の、偶然の「出会い」*3である。とある方に伺っていた通り、確かに優品と呼べるような代物*4ではない。使っている絵具も塗り方も、確かに大変ヒドイのであるが、個人的にはいろいろと興味惹かれるところのある、大変面白い作品であった。特に気になったところは、登場人物の大きさが一般的*5異様に小さいというところ。しかし、これは描かれている建物の大きさと比較すると、非常に合理的な関係をなしている。それは、たいていは建物に対して人物はかなり大きく*6描かれていることが多い。しかしながら、この作品での人間の大きさは、周辺に描かれている建物の中に入るほぼ丁度のサイズで描かれているのである。おそらくは、このせいで画面全体を見たときに人物が小さすぎると感じるのではないだろうか。それから、杉戸に描きこまれた年輪の線が、なんとも言いがたいほど非常に独特*7なのである。
とにもかくにもこの作品のお陰で、展覧会の印象が少しばかりボケてしまった。まあまあ、こんなこともありまっさあ*8。展覧会は2006年3月19日まで。会期中の毎週月曜と、2/6-10*9は休館。

*1:どこからその情報を得たのか我ながら不明なのだが…

*2:伊丹市立美術館で所蔵されていることは確認済であった

*3:かといって運命的とまではいえないのだが

*4:特にオーソドックスな「美術史」の価値観からみると、「おハナシにならない」の烙印を押されることは、間違いないだろう。

*5:または有名なと言い換えた方が、あるいは適当かもしれない。

*6:こんなにデカかったら、家の中に入られへんやろういうくらい。

*7:携帯で撮りたかったくらいに印象的であった

*8:こんなに語ってまうちいうことは、やっぱり「洛中洛外図」が好きなんやろか!?

*9:展示替のため